アダルトチルドレンとは?
アダルトチルドレンとは、子供時代に機能不全家族のなかで育ち、大人になっても生きづらさを抱えている人たちのことです。
子供時代に家族が安心、安全な場所ではなかった場合、子供は「ありのままの自分」では生きられず、自分の身を守るために、そして家族を守るために懸命に頑張ります。
そのような子供は生き延びるために、自分主体ではなく、他人を主体として考えるパターンが身に着きます。そして、大人になって自分を守る必要がなくなっても、他人を主体とするパターンを無意識のうちに続けてしまい、さまざまな生きづらさを抱えてしまうのです。
なお、「アダルトチルドレン」は一つの概念であり、病名ではありません。
以下はACのチェックリストです。ご自分がどのくらい当てはまるかやってみましょう。
アダルトチルドレンのチェックリスト
□ ものごとを最後までやり遂げることがむずかしい
□ 自分に自信がない。自分はダメだと思う
□ 自分に対して過酷な批判をする
□ 自分は生きている価値がないと思う
□ 人生を楽しむことが下手である
□ 他人と親密な人間関係を持てない
□ 白黒をはっきりさせすぎ、ほどほどにバランスをとることができない
□ 何かあると反射的に反応する、またはなんの反応もしない
□ 必要のないときにもつい嘘をついたり、ごまかしたりする
□ 必要以上に相手に忠実である
□ 何が正常で何が異常かわからない
□ 他人からのほめ言葉を受け入れにくい
□ 他人から助けを得るのが下手である
□ 自分は他人と違っていて居場所がなく、孤独に感じる
□ 自分でコントロールできない状態が起きるとパニックを起こす
□ 他人から認められたいという気持ちが強い
□ 理由もないのによく頭痛や腹痛などがあり、からだの調子が悪い
□ 摂食障害を起こしている(拒食症、過食症、過食嘔吐など)
□ アルコールや薬物(医師からの処方薬剤も含む)の依存症になっている
□ 非行に走ったり、自暴自棄になって暴れる
□ お茶目で他人の気をそらす
□ 目立たないようにスーッと消える
□ きまじめで他人のいうとおりにする
□ いつもせかせかと衝動的に行動する
□ 何か起こるのではないかと常に恐れる
□ 他人の目が気になる。被害妄想に陥りやすい
□ なにごとも完璧でないと気がすまない
□ 顔やからだに表情がない
□ 何かが変わることに対する恐れが大きい
□ 抑うつ状態に陥る
□ 離人感や解離で自分が自分でないような気がしたりする
□ 自分の感情が鈍麻していたり、からだから出るメッセージに気がつかない
□ 怒りが爆発したり、いつもイライラしている
□ 権威のある人の前に出ると過剰に萎縮する
□ 記憶力が鈍ったり、または反対にイヤな記憶に悩まされて胸がドキドキしたり悪夢を見たりする
□ コミュニケーションの技術に乏しい
□ 自分はいったい誰で、どんな人生の目的を持っているかなどわからず、自己が確立していない
□ 対人恐怖があったり、ひきこもりをしている
□ 共依存的な行動に出やすい(共依存のチェックリストを参照)
(西尾和美氏による「アダルト・チルドレンのチェックリスト」を引用。西尾和美『アダルト・チルドレン 癒しのワークブック』, 学陽書房, 1998, p.16-18. )
いかがでしたか?10個以上の項目がいつも自分に当てはまるなら、あなたはアダルトチャイルドである可能性が高いといえます。
機能不全家族とは?
機能不全家族とは、子供が子供でいることを許されず、親が親の役割を果たしていない家族です。家族には秘密があり、家族間にあるべき境界線が非常にあいまいで、子供は家族を安全な場所であると感じることができません。
機能不全家族のチェックリスト
□ 身体的なアビューズ(虐待)があった
□ 性的アビューズがあった
□ 精神的、感情的、言語的なアビューズがあった
□ 家庭の不和があった
□ 怒りの爆発がよく起こっていた。いつ怒りが爆発するかと恐れていた
□ 愛のない冷たい家族だった
□ 人格を否定するような雑言や怒鳴り声が飛びかっていた
□ 威(おど)しがあった
□ 他人や兄弟姉妹といつも比べられた
□ 親の思いどおりになるようコントロールされた
□ 親の期待が大きすぎる家族
□ 他人の目を気にする、表面だけ良くふるまう家族
□ あまりにも多くの秘密があったり、外に出してはいけない大きな隠しごとがあった
□ 顔や姿かたちについてからかわれたり、ばかにされたりした
□ 親と子どもの関係が逆転していた
□ 子どもを過度に甘やかした
□ 自分の存在を否定された
□ 依存症や共依存症の親がいた
□ 家のなかのルールに一貫性がなかった
(西尾和美氏による「機能不全家族のチェックリスト」を引用。西尾和美『アダルト・チルドレン 癒しのワークブック』, 学陽書房, 1998, p.21-24. )
このチェックリストにあるような状態が頻繁に起こっていたとしたら、あなたの家族は機能不全な家族といえます。
機能不全家族のなかで育ったからといって、全員がアダルトチルドレン特有の生きづらさに苦しむわけではありません。同じ親に育てられたきょうだいでも、個人によって影響の受け方は異なります。ACの生きづらさは、成育環境に加えて生まれ持った性質や感受性の強さなども関係しているからです。
ただ、一見問題を抱えているように見えない人でも、見えない心の傷や問題を抱えているケースは多くあります。そして、ある時、ある場面になって突然問題が噴出することもあります。
家族のなかで子どもが
演じてきた役割
アダルトチルドレンは子供時代に子供らしくふるまうことを許されず、機能不全家族のなかで次のような役割を果たしてきたと言われています。あなたに当てはまるものはありますか?ひとりで複数の役割を果たしている場合もあります。
1. ヒーロー(優等生)
いい子、しっかりした子でいることで評価を得ようと、一生懸命努力し頑張るタイプ。
2. スケープゴート(問題児、いけにえ)
病気やケガをしたり、非行に走ったり、問題を起こすことで家族の代わりに声を上げる役割を果たす 。
3. ロスト・ワン(いない子)
家族のなかで目立たず、存在を忘れられがちな子。家族内の人間関係から離れることで自分の身を守ろうとする。
4. クラウン(道化師)
家族内の争いや緊張を回避するため、おどけたりして場をなごませる子。
5. ケアテイカー / プラケーター(世話焼き、なだめ役)
小さい時から親やきょうだいの面倒を見たり、愚痴を聴いたりする。自分のことは後回しで周囲の役に立とうとする。
<引用・参考文献>
・西尾和美『アダルト・チルドレン 癒しのワークブック』, 学陽書房, 1998.
・アスク・ヒューマン・ケア研修相談センター『アダルト・チャイルドが自分と向き合う本』, アスク・ヒューマン・ケア, 1997.
・斎藤学『アダルト・チルドレンと家族 心のなかの子どもを癒す』, 学陽書房, 1996.
・クラウディア・ブラック著 / 水澤都加佐・訳『子どもを生きればおとなになれる 「インナーアダルト」の育て方』,
アスク・ヒューマン・ケア, 2003.
アダルトチルドレン回復のプロセス
アダルトチルドレンが回復するプロセスには以下のようなものがあります。
●現在、自分がどのような問題や生きづらさを抱えているかを発見する
自分が抱えている問題に気づくことは、回復への第一歩となります。
●過去を振り返り、自分や家族が抱えていた問題を整理する
子ども時代に自分自身や家族がどのような問題を抱えていたのか、話すことや書くことで整理されていきます。
怒りや悲しみ、淋しさなどの感情が出てきたら、それらを一つ一つ解放していきましょう。
●子ども時代の自分を癒す
大人になっても、心の中にはインナーチャイルド(内なる子ども)がいます。
子ども時代の自分と出会い、悲しみを癒し、自分自身が親となって育てなおしていく必要があります。
●自分自身を生きるための新しい考え方やスキルを身に着ける
子どもの頃に身に着けた不要な思い込みを手放し、新しい考え方のパターンを身に着けていきます。
自分の感情や欲求に気づき、自分を大切にする方法や人間関係のスキルなどを学んでいきます。
アダルトチルドレンの回復にはある程度時間がかかります。また、自分の辛い過去を思い出すのは、多かれ少なかれ痛みを伴うものです。
回復のプロセスでは一時的に抑うつ的になったり、怒りや悲しみなどネガティブな感情に振り回されることもあります。
より安全に、スムーズに回復の道を進むためにはカウンセラーなど専門家のサポートを受けることをお勧めします。
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